2012年5月23日水曜日

スペイン国王杯 Copa del Rey

今週の金曜日に、スペインサッカーのリーグ戦であるスペイン国王杯の決勝戦が行われます。これは、日本の天皇杯に当たるもので非常に重要な一戦ですが、これを前にある問題が持ち上がっています。
まずは、二つの動画を見てもらいたいと思います。
                       2010年度の国歌演奏時の様子
                               2009年度の国歌演奏時の様子

違いをお分かりいただけたでしょうか?どちらも流れは、国王(もしくは皇太子)の入場→国歌演奏となっています。しかしながら、2010年度は国歌にあわせて観客が歌っているのに対し、2009年度は国歌演奏中に、たくさんの口笛やブーイングが起こっています。しかも、国王が見ている目の前でこのような状態になっています。
なぜ同一国内の試合なのに、ここまで違いが出てしまったのでしょうか?? それは出場したチームが所属する地域が関係しています。
2009年度の決勝戦はFCバルセロナ(カタルーニャ)vsアスレチック・ビルバオ(バスク)で行われました。これらのチームの本拠地であるカタルーニャ州とバスク州、これらはどちらも、スペインの中央政府とは異なる自治政府をもち、「スペイン」からのさらなる自治権利獲得、さらには独立を目指すグループも存在している地域です。これらの地域は、昔のスペイン(カスティーリャ王国と呼ばれていました)や第二次世界大戦後からスペインにおいて独裁をおこなっていたフランコ将軍によって抑圧や弾圧を受けていました。そんなわけで「スペイン」に対し反発心を持つ人も決して少数でありません。

 ETA(バスク祖国と自由)という名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?これは武力によってバスク州の独立を目指すテロ組織です。最近は、スペイン政府との和平交渉も進みテロの件数は減ってきていますが、昔はテロをよく起こしていました。一方で、平和的な方法で独立をもとめる人は非常に多くいます。ちなみに、バスク州にいたってはスペイン語では"País Vasco"(pais は国と地域どちらの意味も含有しますが、一般的にpaisといったら国のことを指す。)と呼ばれています。
以上のような理由から、彼らが一同に集まる場所がありそこでスペイン国家をたたえるスペイン国歌が演奏されたとき、彼らにどのような気持ちを生じさせるか...その結果が上のビデオです。
ではなぜ、今年のスペイン国王杯が問題になってしまうのか。それは、今週の決勝戦でまた、FCバルセロナとアスレチック・ビルバオがマドリッドで対戦するからです。マドリッドといえばスペインの首都、国歌演奏時に口笛とブーイングが起こるだけでも問題ですが、マドリッドでこのようなことが起こってしまっては一大事です。そのために今、どう対処するのかが注目されています。

ところで、カタルーニャ人はスペイン人が嫌いというわけではありません。バルセロナで生活していてカタルーニャとスペインの溝を感じる機会はありません。そのような中、今回のサッカーに関するニュースを見たので、自治のことに焦点を絞って書いてみました。ですが、来てまだ一カ月のいかおとこに彼らの心情を完璧に理解するのはまだ難しいような気もします。
さて、いろいろと書いてしまいましたがこの2チームはどちらも強豪です。非常に見ごたえがあること間違いなしなので、ぜひ見てみてください! 5/26 AM4:45~WOWOWにて生中継です!



 おまけ
スペイン国歌
カタルーニャ州歌
この歌は、スペインの抑圧に対抗する戦争がおきたときにできた歌です。
その中の一節に"quan convé seguem cadenes"(時が来ればわれらを拘束する鎖を断ち切るのだ)とあります。この真意はいったいどこにあるのでしょうか。

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